恩師の言葉

2021.10.24

田中正延先生

コロナ禍で日常生活が変化し、大変な生活を送っていると思いますが、ようやく収束の兆しも見え、皆様に於かれましてはお元気でお過ごしのこととお慶び申し上げます。

経歴
1949年 昭和24年5月21生まれ、72歳
1972年 昭和47年4月10日不二聖心女子学院に赴任し、今年で教員歴50年となります。
2015年 平成27年4月 非常勤講師・聖心会山の家の教育指導員として現在に至る。

自身の心の支えとなっている言葉や出来事
私が、教員生活50年間送れたのは、ある一人の生徒の『私を差別しないでください』この言葉が不二聖心に残る言葉になったと思います。
体育授業のハードルの授業でした。その生徒は生まれた時の股関節脱臼が原因で足が思うように動かず、運動が苦手な生徒でした。『貴方はハードルを跳ばない方がいい』何故なら飛ぶたびに足腰に大きな負担がかかるから、やめたほうがいいと助言した折、生徒は即行『私を差別しないでください』と言ったのです。
私は正直驚きました。その後は手加減せず他の生徒と同じ様に運動をさせたのですが、卒業後数年経ったある日、同級生が当時の様子を詳しく話してくれました。
彼女は体育の時間があった日の夜は、寄宿舎で毎晩痛みを耐えて泣いていましたよ。その苦痛を取るために友人が集まり足腰をマッサージして過ごしていたのです、と話してくれたのです。
痛みを我慢して、学校では人に弱みを見せず、自分は普通の人間として扱ってもらいたい、と意思表示をする生徒に心を打たれました。
この言葉は私にとって一生忘れられない言葉として残っています。

心に残っている不二聖心の思い出
不二聖心の思い出は、私にとって遣り甲斐がある職場で毎日が楽しく、一度として『今日は仕事をしたくない』という日がなかったことです。只々感謝のみです。そういう意味では天職であったと自負しています。

卒業生へのメッセージ
そして最後に、母校愛に富んだ卒業生の皆様方が一生涯の応援者でいてくださることに感謝したいと思います。卒業生がよく訪れる学校、それこそ人生行路に似ていると思いませんか。人生に疲れたら不二聖心に帰ってきてください。楽しい人生なら報告に来て下さい。原点に戻れば何か新しい原動力をもらえます。
今は山の家の教育指導委員として施設利用の企画をし、新しく竹林の十字架の道行き(和式で短い)を作りました。また、ソログルキャンプも企画し、皆様が遠慮なく何時でも来られるようお待ちしております。キリストのご像も両手を広げてお待ちしています。